Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はしがき

童話集 春

竹久 夢二

Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme

Aozora Bunko

だが、それがどんな植物なのか、熊さんにはてんで見当がつきませんでした。円い葉のつぎに三角の葉が出て、やがて茎の端に、触角のある蕾を持ちはじめました。

「や、おかしな花だぞ、これは、蕾に角が生えてら」

つぎの日、熊さんが、三回目の水を揚げたポンプのところへやってくるとその草は、素晴らしい黄いろい花を咲かせて、太陽の方へ晴晴と向いているのでした。熊さんは、感心してその見事な花を眺めました。熊さんは、電車道に立っている電車のポイントマンを連れてきて、その花を見せました。

「え、どうです」

「なるほどね」ポイントマンも感心しました。

「だが、なんという花だろうね、車掌さん」熊さんはききました。

「日輪草さ」車掌さんが教えました。

「ほう、日輪草というだね」

「この花は、日盛りに咲いて、太陽が歩く方へついて廻るから日輪草って言うのさ」

熊さんはもう嬉しくてたまりませんでした。熊さんは、永田町の方へ水を運んでいっても、早く日輪草を見たいものだから、水撒車の綱をぐんぐん引いて、早く水をあけて、三宅坂へ少しでも早く帰るようにしました。だから熊さんの水撒車の通ったあとは、いくら暑い日でも涼しくて、どんな風の強い日でも、塵一ツ立ちませんでした。