Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
一の四
――どうして私に断わるんです。
八束は愛嬌のいい顔で、しかしかなり皮肉な笑いかたをし、軽い調子でこう云った。
――それは杉乃さんしだいじゃありませんか。
一の四
叔母に呼ばれてから、十日ほど経って、祝言の日が迫り、すべての用意もととのい、どちらも緊張の緩む、数日が来た。
孝之助が強引に、この縁組をまとめたのは決して岡村八束の関係だけではない、彼はずっと以前から杉乃を愛していた。どうしても杉乃でなければ、という強烈な感情ではなかった。もし嫁に貰うなら、というくらいの、ほのかな、ごく尋常な恋ごころにすぎなかった。笠井へはたまにしかゆかないが、杉乃を見ると心が温たまり、静かな、安息と慰めを感じた。そしてひそかに、
――このひとだけはいつもしあわせに、不幸や悲しみを知らずに、一生を送らせたいものだ。
そう思うのであった。会うたびに、きまって同じことを思った。
こんど縁談が始まってから、彼はいちども笠井へはいっていない。仲人は、老職で藩校の学頭を勤める、佐多梅所に頼んだ。梅所は父と親しいし、家格からいって(重みという意味で)適当だと思ったのである。
笠井では数日の間をおいて、承諾の返辞をし、同時に「なるべく早く」