Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
或る激しい意志が、示されているようであった。
「わたくし申上げたいことがございます」
杉乃は盃を受けようとして、ふと手を膝に戻し、こう云いながら眼をあげた。静かではあるが、なにものも怖れない、といったようなまなざしであった。
「聞かなければならないことですか」
「念のためにぜひ申上げたいのです」
孝之助は頷いた。
「わたくし今宵から、高安家の嫁となり、貴方の妻となります、けれど、それはこの躯だけでございます」杉乃の唇が、僅かにふるえた、「――わたくしは、この御縁組は望みませんでした、こちらへまいる気持は、少しもなかったのです、貴方はそれを御承知のうえ、たってわたくしを御所望なさいました」
「――そのとおりです」
「そのために、貴方がなにをなすったか、わたくしよく存じております、どのような手段をおとりになったか、ということを」
「――少しも疑わずにですか」
「わたくし貴方をお愛し申すことはできません」彼女は続けた、「――まいった以上、妻としてはお仕え致しますけれど、心からお愛し申すことはできません、……聞いて頂きたいのは、それだけでございます」
声は哀れに震えた。