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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

すべてがよくなるという、期待をかけても、もうまちがいはあるまいと思われたが、やっぱりいけなかった。妻のようすは少しも変らず、むしろしばしば、それ以前よりも冷やかで、依怙地な態度をみせるようにさえなった。

――もう少しがまんしてやって呉れ。

彼は義母の言葉を忘れなかった。期待の外れたことにも、ひどく失望したわけではなかった。彼は自分自身に慥かめた。

――自分は妻に幸福な生活を与えようとして娶った、彼女を悲しみや不幸から守り、生涯、温たかく平穏に暮すことができるようにと、……決して自分の幸福や、満足のためではなかった筈だ。

それにいまは子供があった。名は父の幼名をとって小太郎と付けたが、よく肥えた丈夫な子で、妻は殆んど溺愛していた。彼の分身である子供を、舐めるように愛している妻の姿は彼自身の不満や淋しさを、かなり償って呉れるものであった。

――これでいい、自分はこの妻と子の、仕合せを守ることに努めよう、そのほかのことはすべて時に任せるのだ。

男には生活があった。

藩主の職制改革で、彼の将来はいちおう停頓のかたちになった。悪くすると、勘定奉行所の「元方支配」