Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lesen Sie 竹柏記 (ちくはくき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.798 Zeichen · 91 Bildschirme
力のある眼光や、微笑する口もとなどに、かなりはっきりと冷やかな、見くだすような色があった。……帰るとすぐに会いたかったのだが、御用が多くてその暇がなかった。ついては、明夕四時から自宅で知友と会食することになっている、ぜひ御夫妻で来て呉れるように。八束はこう云った。
――高安さん御夫妻が主賓ですから、ぜひとも来て頂きたい、ぜひともですよ。
念を押されて、孝之助は承知した。
今日は役所は休みである。四時までには岡村へゆかなければならない。妻にはまだそのことは話してないし、話せばおそらくいやだと云うだろう。そんなことも(躯の疲れより強く)彼の気持を押えつけるのであった。
「しかし、どうしたってゆかなければならない」孝之助はそっと呟いた、「――騙してでも……おれと杉乃が主賓だというのだから、どうしたって」
彼はふと眼をすぼめた。さっきからぼんやりとひとところを眺めていた、寒ざむと枯れた庭のひとところを。その焦点のぼやけた視野のなかで、一本の木がしきりに彼の意識へよびかけていた。彼はその木を眺めていたのだ、そして今、その木を眺めていたことに気がついた。その木は、竹柏であった。