Japanische Klassiker mit Furigana
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme
「この下は丁度食堂だ」
玄関から引返した千種十次郎は、美保子のことが気になり乍らも、差出がましく振舞うべき筋合でも無いので、新聞社へ電話を掛けて早坂勇を呼んで、それからもう一度此処へ引返して、早くも持前の探偵眼を働かせ始めたのです。
番町の屋敷町にしては、思いの外建て込んで、奈々子の部屋の西側、小さい窓から五六間を距てて、コンクリートの土蔵が立ち塞がって居りますが、これは羽でも無くては飛付くことなど思いも寄らず、その上窓の下には鉄の忍び返しを二重三重に植えて、人間などは上からも下からも近寄れないように出来て居ります。
すると矢張り、曲者は邪魔立てする美保子を刺し、気を喪った奈々子を引き抱えて、南側の大窓から逃げ出したことになりますが、下の食堂では少くとも三十人の半分の十五人位は外の方を向き、間昼のような電灯が庭一パイに照して居た筈ですから、その三十の眼を誤魔化して、忍び込むことも逃出すことも出来るわけはありません。
部屋の扉は、内から締めて、鍵は鍵穴に差込んだままですから、曲者は窓から逃出したのでなければ、奈々子と共に、部屋の中で煙の如く消え失せたことになります。