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Japanische Klassiker mit Furigana

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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

Lesen Sie 笑う悪魔 (わらうあくま) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.687 Zeichen · 55 Bildschirme

Aozora Bunko

付いて居た看護婦は、遠慮をしてそっと座を外しました。

「美保子さん、どう? 災難でしたね、でも傷は軽い様で」

千種十次郎は寝台の裾の方に立ったまま、この美しい処女を、遠慮深く見やりました。

失踪した令嬢奈々子の、少し打ち上った、貴族的な上品さに比べて、美保子の美しさは庶民的で、そして清潔でさえありました。美しさというよりは、それは聡明さに助けられた愛らしさと言った方がピタリとしたでしょう。

小柄で丸ポチャで、笑顔の美しい、眉の霞んだ、八重歯のある――そう言った怜悧で清純な少女と想像して見て下さい。それが即ち十九になる美保子の肖像なのです。

「千種さん」

「――――」

美保子は改めて呼びかけました。その顔には真剣さが溢れて、試験場に臨んだ女学生のような、一種いじらしいものを十次郎に感じさせました。

「お願ですから、この事件に深入しないで下さい」

「此事件?」

「奈々子さんが誘拐された事件、――そうです、この事件には何んか恐しいものがあるんです、お願ですから」

傷いた美保子は、兄の方に気を兼ね乍ら、拝むようにして言うのです。その大きい眼には、一パイ、涙さえ溜めて――。