Japanische Klassiker mit Furigana
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そこつひょうばんき
粗忽評判記
山本 周五郎
Lesen Sie 粗忽評判記 (そこつひょうばんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.942 Zeichen · 28 Bildschirme
今さらなんの使者を寄来す必要があろう。これはたしかに久之進の粗忽だと推察したので、「――よし、会うぞ」にやりと笑った。
書院に平伏しているのはまさに久之進であった。信継は座につくと、よそよそしい声できぱきぱと云った。
「信継じゃ、壱岐殿の使者大儀」「はっ」「口上の趣聴こう」
久之進は平伏した顔を静かにあげた。もう度胸を決めているらしい。
「壱岐守より口上にて申上げまする」
「――うん」信継は天床を見ている。
「このたびは御厩奉行に任ぜられ、祝着至極に存じ上げまする、壱岐守自ら御祝儀に参るべきところ、他ならぬ御当家様のこととて使者口上のお祝い、ひらに御免蒙りまする」
「待て久之進、待て」信継は苦笑しながら遮った。「ただ今の口上、壱岐守より申付かって来たのか、そうではあるまい」
「恐れながらまさに」
「いやそうではあるまい、そのほうは使者として行くべき先を間違えたのであろう、壱岐守がそんな祝を云って寄来すはずはないぞ」
「それは恐れながら出雲守様のお鑑識違いかと存じまする、そう仰せられまするは、いつぞや殿中で壱岐守の過失により、お仲違いに相成ったことの意趣をお含みのうえと存じまするが、……手前主人とこちら様とは十余年のお交り、たとえお仲違いに相成りましょうと、壱岐守心中には一時もこちら様のことをお忘れ申したことはございませ