Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
なのであった。
彼女は悦子の眼を避けるようにしながら、急いで封を切った。そして、裏表へぎっしりと書かれている、紙質の硬い三枚の洋風書簡箋が、四つ折になっているものを中から取り出すと、発声映画の場面で聴くような、バリバリと云う強い音をたててその紙をひろげた。
その内容はまことに思いがけないもので、彼女が読んだ全文は左の如くであった。―――
拝啓
突然斯様な手紙を差上げる失礼をお許し下さい。姉上がこの手紙を御覧になって驚かれることは分っているのですが、それでも僕はこの機会を逃すことが出来ないのです
僕はこの間から一遍姉上に手紙を上げようと思っていました。しかし途中でこいさんに取られてしまう心配があるので、差控えていましたところ、今日夙川で久し振にこいさんにお目に懸り、御上京中の姉上が目下悦子さんと二人ぎりで築地の浜屋に泊っておられることを聞きました。浜屋は僕の友人が上京すると泊る家なので、僕は番地を知っていました。それで、今ならこの手紙が確実に姉上の手に届くであろうと思い、失礼を顧みず急いでこれを書くところです
出来るだけ簡単にしたいと思いますので、最初に僕が抱いている疑念を申し上げてしまいましょう。