Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
九月三日夜したたむ
奥畑啓三郎
蒔岡姉上様
侍史
幸子は卓上に肘を衝き、両手の中へその書簡箋を抱え込むようにしながらところどころ繰り返して読んだが、悦子の探るような視線から逃れるために、読み終るとそれを封筒に収めて、二つに折って、帯の間に入れ、縁側に出て、籐椅子に掛けた。
余り不意討ちだったので、彼女は先ず動悸を押し静め、気を落ち着けてかからなければ、何事をも考えられなかった。それにしてもこの手紙に書いてあることは何処までほんとうであろうか。………なるほど、そう云われて見ればたしかに自分達は人が好過ぎたかも知れない。自分達はあの板倉と云う青年に少し気を許し過ぎていた。何の用もないのに始終遊びにやって来るのを、不思議とも思わず、好きなようにさせていたのは、油断と云えば云えないことはない。が、それと云うのも、自分達はあの青年をそう云う意味では全然問題にしていなかったからであった。自分達はあの青年の氏も素姓も知らないのだし、知っているのは彼が奥畑商店の丁稚上りだと云うことだけである。まあ、正直のところ、あの青年は自分達とは階級の違う人間と云う頭が最初からあった。