Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
「こいさん」
と云った。
「―――あたし、実はこないだ、東京に行ってた時にけったいな手紙貰うてんわ」
「誰から」
と妙子は、まだ人形の方へ眼を据えたまま何気なく云ったが、
「啓坊からやわ」
と幸子が云うと、
「ふうん」
と云って姉の方へ向き直った。
「これやけどな、―――」
幸子は西洋封筒のままその手紙を懐から取り出しながら、
「これ、どんなことが書いてあるか、こいさん分るやろか」
「大概分ってる、―――板倉のことと違うやろか」
「そうやわ、まあ読んで御覧」
妙子はこんな場合に余り顔色などを変えない、悠々迫らずと云った風な落ち着き払ったところがあって、端から腹を窺いにくいのであるが、今も幸子が見ていると、三葉の書簡箋をしずかに卓の上に展べ、眉一つ動かさずに一枚々々裏を返してじっくりと読んだ。
「阿呆らしい。―――この手紙のことやったら、中姉ちゃんに云付けてやる云うて、こないだから嚇かされててんわ」
「あたしは全く寝耳に水やったのんで、どんなにびっくりさされたか」
「こんなこと、相手にせんと置いてほしい」
「自分から手紙上げたこと、こいさんには云わんといて下さいと書いてあるけど、誰に相談するよりも、直かにこいさんに打つかるのんが一番早い思うよってに、聞くねんわ。