Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
彼女は試みにその水の中を東へ向って進みかけたが、最初は脛を没する程度であったのが、二三歩行くと膝まで漬かってしまい、危く足を浚われそうになったと思ったら、人家の屋根の上から、こらッ、と怒鳴る者があった。こらッ、この水の中を何処へ行く、女の癖に無茶なことすなと、えらい剣幕で怒鳴られたので、誰かと思って見たら、自警団員らしい服装はしているけれども顔見知りの八百常の若主人であった。何やねん、あんた八百常さんかいなと云うと、向うも気が付いて、お春どん、あんた何処へ行かはるねん、この水の中を気でも違うたんか、これから先は男でも行かれへん、川の近くは家が潰れたり人が死んだりしてえらいこっちゃがなと云う。だんだん聞いてみると、蘆屋川や高座川の上流の方で山崩れがあったらしく、阪急線路の北側の橋のところに押し流されて来た家や、土砂や、岩石や、樹木が、後から後からと山のように積み重なってしまったので、流れが其処で堰き止められて、川の両岸に氾濫したために、堤防の下の道路は濁流が渦を巻いていて、場所に依っては一丈ぐらいの深さに達し、二階から救いを求めている家も沢山あると云う。