Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
と呼ぶ声がしている。見ると、つい半丁程先のところに、列車が立ち往生をしていて、その窓の中から、同じ学校の生徒たちが首を出して此方の連中を呼んでいるのである。君等は何処へ行くつもりだ、もうこの先はとても危険だ、住吉川は大変な出水で渡れるどころではないそうだから、まあ此処へ上って来いと云う。で、貞之助も仕方なく彼等と一緒にその汽車の中へ上り込んだ。
それは下り急行車の三等室で、甲南の生徒の外にもいろいろの人間が避難していた。中でも幾組かの朝鮮人の家族が一とかたまりになっていたのは、多分家を流されて命からがら此処へ駈け込んで来たのであろう。病人らしい血色をした、女中を連れたお婆さんがいたが、これは間もなく口のうちで念仏を称え出した。背負い呉服を売り歩く商人らしい男が、麻の襦袢と半股引一つでふるえながら、泥だらけになった大きな反物の風呂敷包を横に置き、濡れた単衣と毛糸の腹巻を腰掛の背に懸けて干していた。生徒たちは仲間が殖えたせいか一層元気になってしゃべり出した。或る者はポッケットからキャラメルを出して、友達にも分けてやっている。或る者は長靴を脱いで倒まにして、一杯たまった砂や泥水を吐かせたり、沓下を脱いで白くふやけた自分の足を視つめたりしている。