Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.628 Zeichen · 371 Bildschirme
夫婦がぱっと離れると、次にはペータアとローゼマリーとが、又代る代る夫人に跳び着いている。欄干に靠れて蹲踞まっていた幸子は、そっと縁側から障子の内へ隠れたが、夫人は見られていたことに気付かなかったらしく、ローゼマリーを手から放すと、嬉し紛れに垣根から此方へ首を出して、
「奥さん」
と、庭をキョロキョロ見廻しながら頓興な声で呼んだ。
「奥さん、わたしの旦那さん帰りました。ペータアもローゼマリーも帰りました。………」
「まあ、ようございましたわねえ」
幸子が思わず障子の蔭から飛び出して欄干のところに立ち上るのと同時に、隣の部屋で勉強していた悦子も鉛筆を抛り出して、窓際へ駈け寄った。
「ペータアさん、ルミーさん、………」
「ばんざあい」
「ばんざあい」
三人の子供たちが上と下とで手を振り合うと、シュトルツ氏も、シュトルツ夫人も、手を振り翳した。
「奥さん」
と、今度は二階から幸子が叫んだ。
「あなたの旦那さん、神戸までいらしったんですか」
「わたしの旦那さん、神戸へ行く道でペータアとルミーに遇いました。そして一緒に帰りました」
「まあ、道でお遇いになったんですか、ようございましたわねえ。