Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

「姉ちゃん、あの、※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)血石たら云う石があったわなあ。―――」

「ふん、………」

「あれ、どないしたやろ。―――」

「………」

「なあ、姉ちゃん」

「………」

姉は高台寺蒔絵手文庫と書いてある箱を膝の上に載せて、固くなった桟蓋の間に無理に指を挿し込みながら、それを開けることに気を取られていて、そんな言葉など耳にも這入らない様子であった。

幸子は姉のこう云うところを見せられるのは珍しくなかった。こう云う風に、人の云うことも聞えないくらい熱心に、寸分の隙もなく立ち働く姉を見れば、知らない者は誰でも感心して、何と云うシッカリした、甲斐々々しい主婦であろうと思うのであるが、ほんとうは、姉はそのようなシッカリ者ではないのであった。いつでも何か事件が起ると、最初に先ず茫然としてしまって、放心したような状態になるが、暫くして、その期間が過ぎると、今度はまるで神憑りになったように働き出す。だから、そんなところを端から見ると、いかにも骨身を惜しまない活動的な世話女房のように思えるけれども、実はもう興奮しきっていて、何が何やら分らなくなり、ただ夢中で動いているだけなのであった。