Japanische Klassiker mit Furigana
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ぬいこ
縫子
宮本 百合子
Lesen Sie 縫子 (ぬいこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.962 Zeichen · 20 Bildschirme
奇麗に箒目のついたところに赤い柿の葉が散っている。日のにおいがしそうな光線が清げな土地にさしていた。脹れぼったい重い瞼でその日の澄んだいろを見ながら、くちゃくちゃふてた食べようをしているうちに、縫子は涙をこぼしだした。胸にしみ入るような淋しさがあった。日の光があまり透明で晩秋らしいからだろうか。――一人でいると、心がどうかなってしまったような縫子にも、こういう風に自然から迫って来るものを感じることが出来た。彼女は何故涙がこぼれるか人に話して聞かされないと同じに、何故自分がこんなひどい無気力に圧倒されるか自分にすら説明出来ない。日のいろを眺め涙を勝手に頬へ流していると、縫子は少し楽な気分になった。
また床に入ってから眠ったものと見える。しかも随分眠ったらしい。縫子は人声で目を醒した。西日が裾の方の障子に当っていた。お針子はもう帰ったと見え、六畳でなみと今泉という懇意な細君の低い話声がするのだ。
「ええ、そうですとも……」
これは今泉の細君の元気な嗄れ声だ。
「どうしてでしょうね。同じもの食べて私や登美子なんぞちっとも何ともないのにねえ」
「――皸(あかぎれ)なんかも体質によると見えますねえ」