Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうねん
美少年
岡本 かの子
Lesen Sie 美少年 (びしょうねん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.417 Zeichen · 27 Bildschirme
その先は不自然に太めたり細めたりして鳴す娘曲馬団の楽隊の音。
これ等の音の並びを少し離れて小屋の裏から聴く、河岸の火事の焼跡に少年はわたしを連れ込んだ。普請の角材にハンケチを布いてわたしを腰掛けさした。前には日本橋川がどぶ泥色の面にうっすり縁日の灯を反射さして流れている。
「夜がいいんだ。賑かさと寂しさとの境がいいんだ。きまりが悪くないほど顔が僅かに見える場所がいいんだ。追い詰められてもうこれより行きようもない水にすれすれの河岸がいいんだ」
自分の初一念は、そこでこう、ほんとの話がとく子にできると思い立ったのだと少年はいった。
「だがねえ、そう思い立って、君をここまで連れて来る短い間のうちさえ、僕はいろいろにぐらつくのだ。ひょっとしたら君にもそれが判ったろう。自分に思いも寄らないお芝居をしたり、手を使ったり、なんだかまわりの調子に釣り込まれる。つくづく動き易い自分に自分で愛想が尽きるのだ」
やっぱり自分は駄目なのかなあと、少年は声を落してうなだれた。今、少年の歎きは本気らしい。闇に浮く頸筋が、うち首の刃の下に観念した美少女のように白く慄えている。
「あーあ、少しばかりきりょうがよく生みつけられた男の子は不仕合せだ」