Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじんとはと
老人と鳩
小山 清
Lesen Sie 老人と鳩 (ろうじんとはと) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.751 Zeichen · 10 Bildschirme
それじゃ、渾名はクロちゃんでもいいでしょう。クロちゃんという子供がいたことがあるんです。それでは、わたしはお暇します。朝十時頃にまた来て下さいね。さよなら。」娘は帰って行った。
新聞、ラジオ、本を売払った。家には郵便もなかった。さばさばした。絵の本を見るのは、好きだった。壁には小さな複製を掛けた。「コタンの袋小路」ユトリロ、一九一〇年(明治四十三年)。幼い頃の思い出だった。……老人は野桜の杖を引いて歩いた。
娘は十日ほどたって、また来た。老人は一緒に池のほとりに行った。誰もいなかった。ベンチに腰を下した。娘は「あなたは発病後、幾年になりますか。」と言った。老人は「十年だか、十五年だか、わからない。」と言った。老人はさびしさが口許に込上げたのを我慢した。首くくりか自殺を図った後を思い出した。「ハト、ハトがいるよ。この向うだよ。」と老人は言った。老人は娘を案内した。「ここだよ。」と老人は言った。小さい川が流れている。ハトの部屋。小旗が揺れている。二時頃で、中学生も小学生も二人の兄弟はまだ帰って来てない。「可愛いわ。とても可愛いわ。」と娘は言った。「また、こんど、来て見よう。