Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうじんとはと
老人と鳩
小山 清
Lesen Sie 老人と鳩 (ろうじんとはと) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.751 Zeichen · 10 Bildschirme
老人は六十二になった。右半身が不自由だった。右腕が痛かった。でも、だんだん少しはよくなった。歩きだしてしばらくすると右の肺が痛かった。熟っとしていると、痛みは消えていった。三十になる頃、心臓が肥大していた。息切れがひどかった。六十になった時には、杖を引いていた。野桜の杖である。ちょっと手頃である。いつか、愛していた。野原の野桜である。
……ある日突然に倒れた。口がきけず、ものが言えなくなった。それっきり、五十三か四か、五か分らなくなっていた。肩が凝るということが、全然なくなった。性慾がまた、全然なくなった。始めは、お茶、水、小便、うんこ、の言葉しか言えなかった。食うことは平気で食べた。女はあの日から、二年目に別れた。子供は持たなかった。
老人は家を引越した。そこは六畳と、四畳半の板の間と、小さい台所で、小さい庭があった。野原の外れである。誰も音沙汰がなかった。
小鳥、魚の言葉が言えた。すぐ近くに大きな池があって、
「小鳥と魚は取ってはいけません。」と建札が書かれていた。
馬鹿は言えた。けれども、白痴、は言えなかった。また、自動車、は言えなかった。