Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
僕は何だか興ざめた気がした。それから、一週間、二週間を経ても、友人からは何の音沙汰もなかった。しかし、僕は、どんな難局に立っても、この女を女優に仕立てあげようという熱心が出ていた。
六
僕は井筒屋の風呂を貰っていたが、雨が降ったり、あまり涼しかったりする日は沸たないので、自然近処の銭湯に行くことになった。吉弥も自分のうちのは立っても夕がたなどで、お座敷時刻の間に合わないと言って、銭湯に行っていた。僕が行くころには吉弥も来た、吉弥の来るころには僕も行った。別に申し合わせたわけでもなかったが、時々は向うから誘うこともあった。気がつかずにいたが、毎度風呂の中で出くわす男で、石鹸を女湯の方から貰って使うのがあって、僕はいつも厭な、にやけた奴だと思っていた。それが一度向うからあまり女らしくもない手が出て、
「旦那、しゃぼん」という声が聴えると、てッきり吉弥の声であった。男はいつも女湯の方によって洗っていた。
このふたりは湯をあがってからも、必らず立ち話した。男は腰巻き一つで、うちわを使いながら、湯の番人の坐っている番台のふちに片手をかけて女に向うと、女はまた、どこで得たのか、白い寒冷紗の襞つき西洋寝巻きをつけて、そのそばに立ちながら涼んでいた。