Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

八

青木というのは、来遊の外国人を当て込んで、箱根や熱海に古道具屋の店を開き、手広く商売が出来ていたものだが、全然無筆な男だから、人の借金証書にめくら判を押したため、ほとんど破産の状態に落ち入ったが、このごろでは多少回復がついて来たらしかった。今の細君というのは、やッぱり、井筒屋の芸者であったのを引かしたのだ。二十歳の娘をかしらにすでに三人の子持ちだ。はじめて家を持った時、などは、井筒屋のお貞(その時は、まだお貞の亭主が生きていて、それが井筒屋の主人であった)の思いやりで、台どころ道具などを初め、所帯を持つに必要な物はほとんどすべて揃えてもらい、飯の炊き方まで手を取らないまでにして世話してもらったのであるが、月日の経つに従い、この新夫婦はその恩義を忘れたかのように疎くなった。お貞は、今に至るまでも、このことを言い出しては、軽蔑と悪口との種にしているが、この一、二年来不景気の店へ近ごろ最もしげしげ来るお客は青木であったから、陰で悪く言うものの、面と向っては、進まないながらも、十分のお世辞をふり撤いていた。

青木は井筒屋の米櫃でもあったし、また吉弥の旦那をもって得々としていたのである。