Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

一九

返事を促しておいた劇場の友人から、一座のおもな一人には話しておいた、その他のことは僕の帰京後にしようと、ようやく言ってよこした。これを吉弥に報告すると、かの女はきまりが悪いと言う。なぜかとよくよく聴いて見ると、もしその一座にはいれるとしたら、数年前に東京で買われたなじみが、その時とは違って、そこの立派な立て女形になっているということが分った。よくよく興ざめて来る芸者ではある。

それに、最も肝心な先輩の返事が全く面白くなかった。女優に仕立てるには年が行き過ぎているし、一度芸者をしたものには、到底、舞台上の練習の困難に堪える気力がなかろう。むしろ断然関係を断つ方が僕のためだという忠告だ。僕の心の奥が絶えず語っていたところと寸分も違わない。

しかし、僕も男だ、体面上、一度約束したことを破る気はない。もう、人を頼まず、自分が自分でその場に全責任をしょうよりほかはない。

こうなると、自分に最も手近な家から探ぐって行かなければならない。で、僕は妻に手紙を書き、家の物を質に入れて某の金子を調達せよと言ってやった。質入れをすると言っても、僕自身のはすでに大抵行っているのだから、目的は妻の衣服やその附属品であるので、足りないところは僕の父の家へ行って出してもらえと附け加えた。