Japanische Klassiker mit Furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Lesen Sie 耽溺 (たんでき) von 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.597 Zeichen · 110 Bildschirme
主人がその代りに会合に加わって、
「もう、何とか返事がありそうなものですが――」
「そうです、ねえ」と、僕の妻は最終の責任を感じて、異境の空に独りぼっちの寂しさをおぼえた。僕は、出発の当時、井筒屋の主人に、すぐ、僕が出直して来なければ、電報で送金すると言っておいたのだ。
先刻から、正ちゃんもいなくなっていたが、それがうちへ駆けつけて来て、
「きイちゃんが、今、方々の払いをしておる」と、注進した。
「じゃア、電報がわせで来たんでしょう?」と、僕の妻は思わず叫んだ。
「そりゃア、いかん、呼んで来ねば」と、主人は正ちゃんをつれて大いそぎで出て行き、やがて吉弥を呼び返して来た。
「かわせが来たんですか?」と、妻はおこった様子。
「ええ」と、吉弥はしょげていた。
「じゃア、そう言ってくれないじゃア困ります、わ」
「出してお見」と、主人が仲にはいって調べて見ると、もう、二、三十円は払いに使ってあった。僕が直接に送ったのが失敗なのだ。
それから、妻と主人とお袋とで詳しい勘定をして、僕の宿料やら、井筒屋へ渡す分やらを取って行くと、吉弥のだらしなく使ったそとの借金ぐらいはなお払えるほど残った。