Japanische Klassiker mit Furigana
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おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
「いや、たのむから、中央局へ廻ってくれ」
到頭中央局へ廻ったが、さて窓口まで来ると、何を想い出したのか、また原稿を取り出して、
「一寸、終りの方を直すから――」
そして一時間も窓口で原稿を訂正していた。
やっと式場へかけつけ、花嫁側に、仕事にかけるとこんな男ですからと、私が釈明すると、
「いや、仕事にご熱心なのは結構です」
と、釈然としてくれて、式は無事に済んだ。
ところが、四五日たって、新婚の夫婦を見舞うと、細君は変な顔をしていた。私は細君がいない隙をうかがって、
「どうした、喧嘩でもしたのか」ときくと、
「喧嘩はせんがね。どうもうまく行かん」
「立ち入ったことをきくが、肉体的に一致せんとか何とかそんな……」
「さアね」
と赧くなったが、急に想いだしたように、
「――そういわれてみて、気がついたが、まだ一緒に寝たことがないんだ」
「へえ……?」
「忙しくてね、こっちはあれから毎晩徹夜だろう。朝細君が起きてから、寝るという始末だ」
「そんなこったろうと思った。しかし、初夜は一緒に寝たんだろう」
「ところが、前の晩徹夜したので、それどころじゃない。寝床にはいるなり、前後不覚に寝てしまったんだ」