Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おに
聴雨・蛍 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.483 Zeichen · 41 Bildschirme
新吉はもうその女のことを考えるのはやめて、いつかうとうとと眠っていた。
揺り動かされて、眼がさめると、梅田の終点だった。
原稿を送って再び阪急の構内へ戻って来ると、急に人影はまばらだった。さっきいた夕刊売りももういない。新吉は地下鉄の構内なら夕刊を売っているかも知れないと思い、階段を降りて行った。
阪急百貨店の地下室の入口の前まで降りて行った時、新吉はおやっと眼を瞠った。
一人の浮浪者がごろりと横になっている傍に、五つ六つ位のその浮浪者の子供らしい男の子が、立膝のままちょぼんとうずくまり、きょとんとした眼を瞠いて何を見るともなく上の方を見あげていた。
そのきょとんとした眼は、自分はなぜこんな所で夜を過さねばならないのか、なぜこんなひもじい想いをしなければならないのか、なぜ夜中に眼をさましたのか、なぜこんなに寒いのか、不思議でたまらぬというような眼であった。
父親はグウグウ眠っている。その子供も一緒に眠っていたのであろう。がふと夜中に眼を覚ましてむっくり起き上った。そして、泣きもせず、その不思議でたまらぬというような眼をきょとんと瞠いて、鉛のようにじっとしているのだ。