Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうどく
聴雨・螢 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme
拝殿の前まで来ると、庄之助は賽銭を投げて、寿子に、
「日本一のヴァイオリン弾きになれますようにと、お祈りするんだぞ」
と、言った。
寿子は言われた通り、小さな手を合わせて、
「日本一のヴァイオリン弾きになれますように」
と呟いてから、
「――パパが見世物小屋へ連れて行ってくれますように」
そして、頭をあげて、ふと父親の方を見ると、庄之助はまだ頭を下げていた。そして何やら口の中でブツブツ言っていた。
拝殿では、白い着物を着て赤い袴をはいた二人の巫女が、一人は鈴を持ち、一人は刀を持って踊っていた。
庄之助はまだ拝んでいる。寿子はふっとおかしくなって、
「パパは何をお祈りしているのやろ?」
と、肚の中で呟いた。
庄之助は何を祈っているのだろうか。
――彼は大阪では少しは人に知られたヴァイオリン弾きであったが、年中貧乏していた。「津路ヴァイオリン教授所」の看板を掛けているのだが、偏屈なのと、稽古が無茶苦茶にはげし過ぎるので、弟子は皆寄りつかなくなって、従って収入りも尠かったのである。
ヴァイオリンなぞ艶歌師の弾くものだと思いこんでいた親戚の者たちは、庄之助に忠告して、