Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうどく
聴雨・螢 織田作之助短篇集
織田 作之助
Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme
三
冷やし飴一杯も飲まずに、家へ帰ると庄之助は昂奮した声で、怒鳴るように言った。
「さア寿子、稽古だ!」
三
乾いた雑巾から血を絞り取るような苦しい稽古が、その日から繰りかえされた。
学校から帰ると、寿子はもう父の手につかまえられて、ヴァイオリンを持たされた。そして、稽古は夜更くるまで続く日もあった。
覚えの悪い日は、ヴァイオリンを持って立たされていた。
寿子の身体は、古綿を千切って捨てたように、クタクタに疲れた。
昼間、教室の中で居眠りすることが多かった。受持ちの訓導は庄之助を呼んで注意した。が、庄之助はその訓導と喧嘩して帰った。
彼は氏神の前に誓った通り、もう仕事にも出掛けず、弟子も取らず、一日家にいて、そして寿子が学校へ出掛けた留守中は、どうすれば人一倍小柄な寿子の貧弱な体格で、元来西洋人の体格に応じた楽器であるヴァイオリンが弾きこなせるだろうか、どうすれば人一倍小さな寿子の指で弦がマスターできるだろうかと、考え込んでいた。
そして、玄関で、
「只今」
という寿子の声がきこえると、もうピアノの前に坐っていた。そのピアノは既に抵当にはいっているものだったが……。