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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちゅうどく

聴雨・螢 織田作之助短篇集

織田 作之助

Lesen Sie 聴雨・螢 織田作之助短篇集 (ちゅうどく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.162 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

のせめてものはけ口を、幼い寿子に見出して来たのであった。

ところが、今日、寿子が弾いた「チゴイネルヴァイゼン」の素晴しさは、庄之助を驚かせた。それは天才的な閃きといってもいい位であった。

「こりゃ、もしかしたら大物になるかも知れないぞ」

と彼は思った。すると、元来熱狂し易い彼は、寿子を大物にするために、すべてを犠牲にしようと思った。

彼はヴァイオリン弾きとしての自分の恵まれぬ境遇を振りかえってみた。そして、自分の音楽への情熱と夢を、娘の寿子によって表現しようと、決心したのである。

「――そのためには、軍楽隊もやめます。指揮もやめます。そして、私の生活のすべてを犠牲にして、道なき道を歩みながら、寿子を日本一のヴァイオリン弾きに仕込みます」

氏神の前にそう誓ったのである。やがて、庄之助は長いお祈りを終えると、

「さア帰ろう」

と、寿子の小さな手を握った。ヴァイオリン弾きになるには、あまりにも小さ過ぎる手であった。

そして、庄之助はわき眼もふらずに、そわそわと歩きだした。

北向き八幡宮へも寄らなかった。露店の前にも立ち止らなかった。寿子は父の大股の足について行きながら、半泣きになっていた。