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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょっこうとびしょう

職工と微笑

松永 延造

Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

或る男が、生きた竹を切っているのを見掛けた時、彼は額の上の方迄、眉毛を持って行って了った。実際、彼の眉毛は好く動く。そして、普段でも、眼から二寸位は離れているが、驚いたり、怒ったりする時は三寸五分位に隔たる。もっと驚いたら、後頭部の方へと廻って行って了い相な気さえする。西洋人は怒る時眼を瞠って、隠れていた白眼迄をも現すのであるが、支那人は主に、顔面へ既に現れているものを、頭巾を冠った頭部の方へ隠すのである。改めて云うが、彼は正直に怒って了ったのである。「それ、いけない。」

それにも拘らず、竹屋の前を通る時、死んで竿になって了っている竹が、亡霊の様に立っているのを見掛けたとて、彼は何とも思いはしないのである。「貴方、西瓜の果、食べる?」と掌へ乗せた黒い粒を私にすすめる丈である。

私は考えた。何故彼は人間の私よりも病気の蛙を愛し、人間の奴隷よりも働く蟻に熱中するのか。又切り掛けの竹を憐れがるのに、切られて了った竹を恐れぬのか。

最初の方の疑問は直きと解決される機会に到着した。彼が二寸方形位の写真のファインダーを、自分で造って持っている事から、私は気附いたのであるが、彼は自然大の自然物よりも、此のファインダーの擦り硝子へ映る小さい影像の方に、何れ程愛着しているか分らない。