Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
「そんなことなら、私が調べてきてあげますよ。」
北村は気安く言った。どうせ富子の気まぐれな話だと彼は思ったのだ。昼間ならともかく、夜中に鵞鳥がそんなに鳴き立てる筈もない。
そこへ、みよやが来客を報じた。井上の奥様という名前を開いて富子はちらと眉根を寄せたが、応接室へ通しておくように言いつけ北村に言った。
「鵞鳥のこと、まだ内緒にしておいて下さいね。わたくし、鵞鳥にはどうしても水が必要だと思いますのよ。池が一つほしいんです。家鴨ではきたないし、白鳥というわけにもまいりませんし、まあ鵞鳥ぐらいなところでしょうね。よいことを聞きました。水が必要だということ、よく調べておいて下さい。あなたにお酒が必要なのと同じですよ。ゆっくりあがっていって下さい。もう千重子も帰ってまいりますでしょう。」
北村が辞退するのも構わず、富子は酒の仕度をした。然しもうその時、彼女の頭には鵞鳥のことも北村のこともないらしく、何か考えこんだ様子で、鼻がつんと高く聳えていた。居室にはいり暫く身繕いをして、応接室に出て行った。
北村は腰を据えた。どうとでもなれと思った。物事に動じないだけの心構えは出来てるつもりだったし、前には酒がある。