Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「お姉さんこそ、どうかしてよ、今日は。」

「少し酔ったのよ。」

「わたしも飲もう。」

八重子もグラスを取り上げた。それから誰へともなく言った。

「もうゲームはやめるの。」

「もっとやりましょう。」と千重子が答えた。「嵐の晩の、よい思い出だわ。順一さんの打明け話を聞いたし……。」

「打明け話なら、ほかに沢山あるよ。お姉さんこそ、打明け話をしたらどうだい。」

千重子は返事をしなかった。

ウイスキーをなめながら、風の音のなかで、三人はまたゲームを続けた。

六

午後の陽のまだ高い頃、菅原洋平は紹興の店にはいって来た。スーツケースと手提鞄を卓上に投げ出し、料理場の方を覗いた。料理人の楊さんと給仕人の陳さんとが、世間話をやめて、いちどに立ち上った。

「久しぶりですね。」

「どこに行っておりましたか。面白いことありましたか。」

菅原は両腕を頭上に差し上げて伸びをした。

「今日は、特別になにかうまいものを頼むよ。何でもいい。うまいものにかつえてるんだ。痩せちゃったよ。」

よく見ると、いくらか痩せてるようでもあるし、肉がしまって却って元気になってるようでもある。眼は以前ほどまん丸く開かず、少しく眠たそうだ。