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Japanische Klassiker mit Furigana

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しばいきょうぼうけん

芝居狂冒険

夢野 久作

Lesen Sie 芝居狂冒険 (しばいきょうぼうけん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.334 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

色の黒い人相の悪い一人はシンミリと鼻毛を抜き初めた。突然大きな声で……ファークション……と云った。

今一人はチャップリン髭を撫でながら、眼を細くして云った。

「……よしよし……わかったわかった……安心して帰れ」

万平は張合い抜けがしたように、三人の警官を、見まわした。シオシオと頸低(うなだ)れて出て行った。外はモウ真暗(まっくら)になっていた。

アトを見送った三人の警官は、顔を見合せてドッと笑い崩れた。

万平は親方に見付からないように、勝手口からソーッと這入って行くと、トタンに奥の方から大きな怒鳴り声が聞えた。

「どこへ行ってやがったんだ。間抜めえ」

万平は上框(あがりかまち)へヘタヘタと両手を支(つ)いた。奥から一パイ飲んだらしい中禿(ちゅうはげ)の親方が、真赤な顔をして出て来た。青い筋が額にモリモリと浮上っていた。

「……芝居狂(しべいきちげ)えも大概(てえげい)にしろ馬鹿野郎……タタキ出すぞ……」

「まあ、お前さん、そう口汚なく云わなくったって……」

と横から綺麗にお化粧したお神さんが止めた。お神さんはいつでも万平贔負(びいき)であった。芝居のお供といったらいつも万平で、万平のお蔭でお神さんは一廉(ひとかど)の芝居通になっていたのであった。