Japanische Klassiker mit Furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Lesen Sie 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.046 Zeichen · 104 Bildschirme
何も彼も忘れずにおぼえて居ります。衣裳は染返しの小紋に比翼の襟が飛出しているし半襟の縫もよごれている。鳥渡見ても、丸抱えで時間かまわずかせぎ廻される可哀そうな連中です。つぶしに結った前髪に張金を入れておっ立てているので、髪のよくない事が却って目につきました。しかし睫毛の長い一重目縁の眼は愛くるしく、色の白い細面のどこか淋しい顔立。それにまた撫肩で頸が長いのを人一倍衣紋をつくった着物のきこなしで、いかにもしなやかに、繊細く見える身体つき。それに始終俯向加減に伏目になって、あまり口数もきかず、どこかまだ座敷馴れないような風だから、いかにも内輪なおとなしい女としか思われません。長くこんな商売をしていられる身体じゃない。さぞ辛い事だろうと、気の毒な心持になったのが、そもそも間違のはじまりです。人は見かけによらないという事がありますが、この女ほど見かけによらないのもまず少う御在ます。」
「柄にもない。一杯食されたんだね。」
「まアそうで御在ます。後になって見れば、女の方じゃ別にだまそうと思ってかかった訳でも無いんでしょうが、実に妙な意地張りずくになって、先生、わッしゃ全く人殺をしようと思ったんで御在ます。