Japanische Klassiker mit Furigana
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めばえ
芽生
宮本 百合子
Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme
こんな字が意味もなくなって頭にうつって居る。
「アアアア」うんだ様なけったるい声を出して、男の事を思いがけない時に好いものをひろった時の様な表情をして考え始めた。何にもない宙に二つ目が笑ってうかみ出た。ツウツウ――眉が引ける、鼻が出る、白い、気持好く力のこもったひたいがうかんで口が出来てそれからうす赤い線がこのまばたくまにならんだ小っぽけなものをかこんで、その線の上にあるお米つぶほどのほくろさえそえて――男のかおが出来上った。
そのうす笑いをしたかおを手の上ににぎって見たり、向うの方にほうりつけて見たり、髪の毛の間にたくし込んでしまったり、ややしばらく、いたずらっ子が猫をおもちゃにする様に自分もうす笑いをしながらたのしんで居た。今まで少したるんで居た心は、急にキューッとしまって頬やこめかみのところにかるいけいれんが起って――いかにも神経質らしく女はその丸っこい手をふってかたをゆすった。
「斯うやってポッカリと浮いた様な様子をして居られなくなっちゃった」
なげつける様に云って、寝椅子からとび上って湯殿にかけ込んで、水道の下にかおを出してザアザア目をつぶって水をかけた。