Japanische Klassiker mit Furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lesen Sie 若殿女難記 (わかとのじょなんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.611 Zeichen · 45 Bildschirme
五
と、思ったらこれはしたり、御寝所の萩戸がそろそろと開くではござらぬか、かかる深夜に御寝間をうかがうとは、必定お命を覘う刺客などでござろう、ああ危うし、――と思ったらこれはなんと、なんとこれは婦人でござるぞ。しかも艶めかしい長襦袢に扱帯ひとつ、胸乳のたかまり、腰のまるみをあからさまに、爪先へ紅をさした素足でしんなりと上段へ歩み寄ると、袂で片頬を隠しながら、「若さま」とやさしく囁やかれた。果然、これは双葉嬢でござる。このとき若殿はうっとりと眼をさまされ、けげんそうに、「なんだ」とおつむを擡げ召された。
五
「誰だ――」こう云って若さまは半身を起したが、そこにいる人間と、そのまばゆい姿を見て眼を瞠った。「そなた――双葉ではないか」
「はい双葉でございます」彼女は袂の蔭から火のような眼でじっと若さまを見、豊かな膝をするすると寄せた、「お言葉を忘れずにまいりました、でもわたくし、なんにも存じませんので、――羞かしゅうございますわ」
「待て待て、まあ待て」若さまはびっくりして手をあげ、夜具のこちら側へぬけ出した。「それはしかし、とにかく深夜ではあり、男女は七歳にしてというし、女性の尊厳というものは厳そかにして尊い意味であって、従ってそのこういう誤解の起るところのものは」