Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃいろっぽいまち
茶色っぽい町
宮本 百合子
Lesen Sie 茶色っぽい町 (ちゃいろっぽいまち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.087 Zeichen · 8 Bildschirme
左右を眺めるでもなく歩いて行く。――私は、異常な気持がした。その若い女を見て、何か感情に訴えられるもののあるのは私ばかりでないと見え、縁台を出して涼んでいる者も、わざわざ頭を廻して、彼女の後姿を見送った。然し、言葉に出して批評する者もない。皆がただ或る感をもって目送する。若い女は、そういう人目に一向頓着せず、やはり着物のわきを抓み上げたなり、赤い帯、赤い草履でゆるゆる行く。女は半町ほど行って、面白くもない編物細工を陳列した一つの飾窓の前に止まった。機械的に、下膨れな顔をキッと仰向け、暫く凝っと眺め、また歩き出す。――後からその歩みぶりを見ると、若い女の心に行く先も、道順もこれぞと云って定っていないのが明かに感じられた。女は、家と名のつくところへ帰って行くのでもない。時間のある処へ訪ねるのでもない。ただ歩いている――幸福でなく、異様にあてどない空虚な空気に包まれながら、歩いてゆく。私は、その女の感情がありあり分るようで、少しせつない気がした。
一寸した買物をしているうちに私共はその女の姿を見失った。友達も気になっていたと見え、店を出ると、
「どうした? あの女、どっちへ行った?」