Japanische Klassiker mit Furigana
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たけをたずねる
茸をたずねる
飯田 蛇笏
Lesen Sie 茸をたずねる (たけをたずねる) von 飯田 蛇笏 (いいだだこつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.193 Zeichen · 15 Bildschirme
明治十二三年頃買って其の儘用い来ったという陣笠のような猟帽を頭へ戴いて、黒い古紐が面のような顔をキリリと結んでいる。彼の歩みは私のようにせせこましく歩くことなしに緩々と鷹揚な運びである。それでいて私よりも迅い。
先ず、端山の楢や櫟などの生い茂った林からはいり始める。林にはどこにも見るような萓や女郎花、桔梗、萩などの秋草が乱れ咲いて朝露が粒だって葉末にとまっている。落葉がかなり散り敷いて草の葉末にも懸ったりして見える中に、桜落葉は最も早くいたいたしく紅葉したのが其の幹を取り巻いて、一と所ずつ殊に多く濃い色彩を放って見える。そんなところに偶々シメジと呼ぶ白い茸が早く簇生していることがあるので、注意深い眼を見張って桜の幹に片手をかけつつ、くるりと向うへ繞って行く粂吉を見ることがある。私もしばらくの間は必ず一度は粂吉の眼をつけたところへ眼をつけて、彼が通って行くところと余り離れない場所を踏んで登って行くのを常とするのであるが、一二時間の後にはもう自分自身の道を見出して進んでゆきつつあることに気がつく。
草鞋の軽い足どりに蹴返さるる落葉の音が四辺の静かさを破ってひっきりなしに続いてゆく。