Japanische Klassiker mit Furigana
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くさまくら
草枕
Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme
「石鹸なんぞを、つけて、剃るなあ、腕が生なんだが、旦那のは、髭が髭だから仕方があるめえ」と云いながら親方は裸石鹸を、裸のまま棚の上へ放り出すと、石鹸は親方の命令に背いて地面の上へ転がり落ちた。
「旦那あ、あんまり見受けねえようだが、何ですかい、近頃来なすったのかい」
「二三日前来たばかりさ」
「へえ、どこにいるんですい」
「志保田に逗ってるよ」
「うん、あすこの御客さんですか。おおかたそんな事たろうと思ってた。実あ、私もあの隠居さんを頼て来たんですよ。――なにね、あの隠居が東京にいた時分、わっしが近所にいて、――それで知ってるのさ。いい人でさあ。ものの解ったね。去年御新造が死んじまって、今じゃ道具ばかり捻くってるんだが――何でも素晴らしいものが、有るてえますよ。売ったらよっぽどな金目だろうって話さ」
「奇麗な御嬢さんがいるじゃないか」
「あぶねえね」
「何が?」
「何がって。旦那の前だが、あれで出返りですぜ」
「そうかい」
「そうかいどころの騒じゃねえんだね。全体なら出て来なくってもいいところをさ。――銀行が潰れて贅沢が出来ねえって、出ちまったんだから、義理が悪るいやね。