Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

くさめいきゅう

草迷宮

泉 鏡花

Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

爽な心持に、道中の里程を書いた、名古屋扇も開くに及ばず、畳んだなり、肩をはずした振分けの小さな荷物の、白木綿の繋ぎめを、押遣って、

「千両、」とがぶりと呑み、

「ああ、旨い、これは結構。」と莞爾して、

「おいしいついでに、何と、それも甘そうだね、二ツ三ツ取って下さい。」

「はいはい、この団子でござりますか。これは貴方、田舎出来で、沢山甘くはござりませぬが、そのかわり、皮も餡子も、小米と小豆の生一本でござります。」

と小さな丸髷を、ほくほくもの、折敷の上へ小綺麗に取ってくれる。

扇子だけ床几に置いて、渋茶茶碗を持ったまま、一ツ撮もうとした時であった。

「ヒイ、ヒイヒイ!」と唐突に奇声を放った、濁声の蜩一匹。

法師が入った口とは対向い、大崩壊の方の床几のはずれに、竹柱に留まって前刻から――胸をはだけた、手織縞の汚れた単衣に、弛んだ帯、煮染めたような手拭をわがねた首から、頸へかけて、耳を蔽うまで髪の伸びた、色の黒い、巌乗造りの、身の丈抜群なる和郎一人。目の光の晃々と冴えたに似ず、あんぐりと口を開けて、厚い下唇を垂れたのが、別に見るものもない茶店の世帯を、きょろきょろとしていたのがあって――お百姓に、船頭殿は稼ぎ時、土方人足も働き盛り、日脚の八ツさがりをその体は、いずれ界隈の怠惰ものと見たばかり。