Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Lesen Sie 菊千代抄 (きくちよしょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.178 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども主税の言葉には感ずるところもあったふうで、「どうもやはり、これは、差出がましゅうございますけれども、これはやはり奥方をお迎えあそばしませぬと……」

いつもの鈍感な調子でそう云いだした。それは主税が去った五六日経った或る日、二人で丘の上を歩いているときのことであった。

「おまえの気にすることではない」

菊千代は脇を向いたまま冷やかに云った。

「それはもう仰せのとおりですが」弥市はもそもそ口ごもったが、やがてまた、「――御領分の者なども、そのことでお噂を致しておりまするし」

「領内の者が……なにか云っているのか」

「そこはどうしても下民のことでございますから、いろいろと愚にもつかぬことを……もちろん御心配申上げてのことでございますが」

もうよせと叱りつけようとしたが、菊千代はそのまま黙って歩いた。八千石の館主で、二十六歳で、まだ結婚もせず若い待女も置かないとすれば、領内の者たちが不審に思うのは当然かもしれない。

――かれらはどんな噂をしているか。

こう考えると、およそ不清潔なものが想像され、ぞっと肌寒くなる感じだった。その不愉快な気持から逃げるように、ちょうどいつかの道にさしかかったので、菊千代はかなり急な細い坂を、足ばやに竹次の家のほうへ下りていった。