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Japanische Klassiker mit Furigana

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きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Lesen Sie 菊千代抄 (きくちよしょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.178 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

竹次のことはあとから使いで取消し、援助を続けるようにと云ってやったが、楯岡のほうは命じてしまったので、侍たちがいって彼を屋形へひき取った。これは菊千代は知らなかったが、ある日、森の柵のところでふいに彼と出会い、びっくりして顔を眺めた。

「――おおこれは……」楯岡もひどく狼狽したようすで、うしろへさがりながら低頭した、「――お情けをもちまして、御邸内に住まわせて頂いております……とつぜんお眼をけがしまして、まことに……」

そして低頭したまま、逃げるように侍長屋のほうへ去っていった。その背丈の高い、肩の跼んだようなうしろ姿を見やりながら、菊千代は呼びとめて話しかけたいという強い誘惑に唆られた。……彼が源太の小屋にいるじぶんから、いちど身の上を聞きたいと思った。そればかりでなく、ふとすると彼とならうちとけた話ができそうに思えた。

――素姓を隠して、こんな山の中へれて来て、ひっそりと病を養っている、訪ねて来る者もないらしい、家族なども有るのか無いのか。……

その孤独な姿には菊千代と共通するものがある、それが心をひくのであろう。柵の側で出会ってからのちも、しばしば屋形のうちそとでみかけることがあった。