Japanische Klassiker mit Furigana
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おちてゆくせかい
落ちてゆく世界
久坂 葉子
Lesen Sie 落ちてゆく世界 (おちてゆくせかい) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.725 Zeichen · 40 Bildschirme
しばらくの間、失った子供をなつかしむように、私は数々の品を一つずつ目の前にうかべて、回想にふけっておりました。
急にジャズが、やかましく鳴り出しました。とすぐ、ぷっつりきれて静寂にかえりました。
「そら、しかられた。馬鹿ね、信二郎さん」
いつの間にか、隣の部屋へ出て行った信二郎を、私は軽く叱りました。父が苦しそうに、それでもかなりの大きい声を出して怒っております。
「ふん、ジャズもわからないのか。全く、家にいるのは、ゆううつさ。面白くもねえ、姉様だってアプレの癖に……」
「こんな老嬢もやはりアプレのうちなのね」
「来年から年一つ若くなるんだよ。だけど、麻雀やカードは話せるなあ」
私は賭事、勝負事は三度の御飯より好きなのです。私は夢中になって勝とうと致します。その間は、他のことをすっかり忘れております。
「姉様、僕アルバイトやろうと思うんだけども」
その時、又私の部屋にはいって来た信二郎は、小さな声でそう云いました。
「何の?」
「ジャズバンドさ。スティールギター」
「いつ覚えたの」
「いつだっていいさ、大したもんなんだぜ」
「いいわ、おやんなさい。でも夏のこともあるんだからよく考えてからよ」