Japanische Klassiker mit Furigana
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おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Lesen Sie 落葉の隣り (おちばのとなり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.877 Zeichen · 57 Bildschirme
そこまで聞いて繁次はどきんとし、そうだったのか、と心の中で呟いた。
――あたしどうしたらいいかしら。
おひさがそう云いに来たのはこのためだ。一昨年のお盆に帰ったとき、彼は母から聞いたことがあった。例によって角造が飲み続けたあげく、おひさを芸妓屋へ売ろうと云いだし、そのためひどい夫婦喧嘩になった、というのである。あんなみっともねえ子をかい、と繁次は笑って聞いたが、女房に死なれた角造は、きっとまたそんなことを考えだしたに違いない。ひでえ人だな、と思いながら、やがて繁次は立ちあがって、自分の家へ戻った。
おひさは勝手で茶碗を洗ってい、母は行燈の側で、増吉の手の爪を切ってやっていた。繁次は低い声で角造のようすを話し、どういう事情なのかと訊いた。想像したとおり、女房が寝つくとすぐに、おひさを芸妓屋へ売ろうと云いだした。女房は危ないと感じたのだろう、繁次の母と差配の武助に立会ってもらい、「どんなことがあってもおひさを売るようなまねはさせないでくれ」と頼んだ。おひさもよく云い聞かせられたのだろう、母親が死んで五日と経たないうち、父がその話をもちだしたので、すぐに差配のところへ駆けこんだ。