Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちばのとなり

落葉の隣り

山本 周五郎

Lesen Sie 落葉の隣り (おちばのとなり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.877 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

二

昼間はもちろん、近所が起きているうちは静かであるが、夜半から明けがたまではひどいというのである。息をころし、声をひそめてはいるが、それが却ってなまなましく、深い実感に満ちていて、たとえば両手で耳を塞いでも、その手をとおして聞えてくるようだ、というのであった。

二

――参ちゃんはどう思うだろう。

おとなたちの話は、繁次には理解できなかったが、下町で育てばませるのが一般だから、おぼろげながらいやらしいということは感じた。暫くいて出てゆくのならいいけれども、あのまま女がいつくとすれば参吉の母ということになる。

――あんな女を母と呼べるだろうか。

おれならまっぴらだな、と繁次は思い、参吉が気の毒でたまらなくなった。

正月元旦の午ころ、参吉はやぶいりで帰って来た。どうなることかと心配していると、暫くして、将棋をさそう、と迎えに来た。なにも変ったようすはなく、家へ来いと云うのを聞いて、繁次は安心すると同時にちょっとがっかりした。

「将棋はよしたんだ」と繁次は云った、「それより浅草へでもいかないか」

繁次の眼に気づいて、参吉は左の眉のところを撫でた。そこにはあのときの傷が、薄く茶色の糸を引いたように残っていた。