Japanische Klassiker mit Furigana
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あし
葦
山本 周五郎
Lesen Sie 葦 (あし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.406 Zeichen · 25 Bildschirme
渋色になった古畳の上に団扇が一つ、褪せた水色の腰紐がひとすじ落ちている。去っていった女の遽しい立ちざまを示すかのようだ。彼は手枕をして横になり、眼をつむった。
女を知ったのは二年まえである。名はしほといった。かたちばかりに切花を売っているので『花屋』といわれるが、じっさいは酒と女を置き、小部屋あそびをさせる、しほはそういう家の女だった。おと年の夏、五人ばかりで舟を雇い、川狩りをした帰りに、舟で飲んだ酒の余勢でその家にあがった。彼には初めての経験だった。しほが眼ざとくそれを察して、自分から彼の側に来て坐った。
小さなうす暗い部屋へつれてゆかれ、二人きりで酒の膳を前にした、彼は酔っていた。女の眼がしきりに唆るような動きかたをした。
「あなたもやっぱりおんなじ男ね」女は彼の手から身をすりぬけながら云った。「なぐさみものとしてしか女をごらんになることはできないんですか」
「おれはそんな人間じゃない」
「それもおんなじだわ、男ってみんなそう云うのよ、はじめのうちだけね」
「おれにはわからない、どうすればいいんだ」
「あたしを迷わせてちょうだい、あなたも迷ってちょうだい、それまでは、いや」