Japanische Klassiker mit Furigana
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くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
Lesen Sie 蔵の二階 (くらのにかい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.351 Zeichen · 27 Bildschirme
土蔵の二階に一人で寝起きしてるお婆さん、カヨが、突然へんなことを言いだした。
「わたし、どうしたんだろう、耳がおかしくなった。」
夜中に目を覚して、床の中で、はて何時頃だろうと、柱時計の音に注意してみるが、時計はいつも一つしか打たない。柱時計は一階にあるのだが、その音は二階にもよく聞える。昼間だったら、十一時には十一、三時には三つ、ちゃんと打ってるのに、夜中に床の中で聞くと、いくら耳をすましていても、一つしか聞き取れない。一時間待っても二時間待っても、時計は一つしか打たない。いつも一時か三十分かだが、そんな筈はない。耳の方がどうかしてるのかとも思うのだが、そうでもないらしい。裏の笹藪の音までよく聞こえる。笹藪に風のあたる音、笹藪の中を犬が歩く音、みんな聞こえる。夜中の時計の音だけ、いつも一つしか聞こえない。夜中に限って時計が狂うわけもないし、やはり、耳がおかしくなったのであろうか。
彼女は穿鑿するように相手の顔色を窺うのである。
桂介は眉をひそめたが、おとなしく説明してやった。
「それは、お母さんの思い違いですよ。」
夜中に眼を覚して、眠れないといっても、長い間眼がさめてるものではない。