Japanische Klassiker mit Furigana
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くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
Lesen Sie 蔵の二階 (くらのにかい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.351 Zeichen · 27 Bildschirme
焼跡の中に、土蔵が一つある。この土蔵も、戦災の焔をかぶったので、ずいぶん破損している。上塗りの壁土は殆んど剥落して、中塗りの赤土や繩が露出し、屋根瓦も満足でなく、ひょろ長い雑草が生えて風にそよいでいる。二階の窓には、錆び捩れた鉄格子がついていて、その外側に白木の小さな庇が取り附けてあるので、一層さびれて見える。中は薄暗いらしく、昼間でもぽつりと電灯がともってることが多い。窓の鉄格子からは、時折、年老いた女の白い顔が、ぼんやり外を眺めている。一階の入口の鉄扉は、さすがに頑丈で、天気のよい日はすっかり開け放たれ、その南向きの石段の上で、小さな男の子が二人、おとなしく遊んでいたりする。――戦後、この土蔵の内部が改造されて住宅にされているのだ。
この辺は、もともと、住宅街で、復興も後れている。道路に沿って、新築の店屋が少しくあるきりで、他は空地のまま耕作されている。野菜畑もあれば、麦畑もある。土蔵の家は、以前は広い家敷だったらしく、周囲に充分の空地があるが、樹木の植込みもしてなく、耕作もしてなく、片隅に小さな竹の茂みがあるのも、恐らく戦災後に芽を出したものであろう。