Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
形容にもせよ、章魚、太刀魚はいかがだけれど、烏賊は事実居た……透かして見て広小路まで目は届かずとも、料理店、待合など、池の端あたりにはふらふらと泳いでいたろう――
その頃は外套の襟へ三角形の羅紗帽子を、こんな時に、いや、こんな時に限らない。すっぽりと被るのが、寒さを凌ぐより、半分は見得で、帽子の有無では約二割方、仕立上りの値が違う。ところで小座敷、勿論、晴れの席ではない、卓子台の前へ、右のその三角帽子、外套の態で着座して、左褄を折捌いたの、部屋着を開けたのだのが、さしむかいで、盃洗が出るとなっては、そのままいきなり、泳いで宜しい、それで寄鍋をつつくうちは、まだしも無鱗類の餌らしくて尋常だけれども、沸燗を、めらめらと燃やして玉子酒となる輩は、もう、妖怪に近かった。立てば槍烏賊、坐れば真烏賊、動く処は、あおり烏賊、と拍子にかかると、また似たものが外にあった。
季節はそれるが、その形は、油蝉にも似たのである。
――月府玄蝉――上杉先生が、糸七同門の一人に戯に名づけたので、いう心は月賦で拵えた黒色外套の揶揄である。これが出来上った時、しかも玉虫色の皆絹裏がサヤサヤと四辺を払って、と、出立った処は出来したが、懐中空しゅうして行処がない。