Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうくろうのしま

藤九郎の島

久生 十蘭

Lesen Sie 藤九郎の島 (とうくろうのしま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.765 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

見込みどおり、ときには思いがけぬような漁があって、かすかすに命をつなぐ目安だけは立ったが、海の荒れるときは艀を出されず、飽くほどのことにはいたらなかった。

その年の秋、大阪船の五兵衛と忠八が死に、二十年の春早々、大阪船の忠助と日向船の善助というのが死んだ。

遠州船の三人のほうは、島に居着いてから、その年で十七年になる。思えば長い島暮しだった。なかばあきらめ、故郷の山川の姿もあまり夢に出てこなくなったが、命のあるうちに国へ帰って、郷里の人々の顔が見たい。日向船の組が船ごしらえの道具を持ってきたと聞いたときから、どうにかならぬものかという思いが、いつも三人の心にあった。どうしてもあきらめきれぬので、ある日、甚八がみなに相談を持ちかけた。

「ならぬとわかっていながら、国へ帰る相談など持ちだすのは、罪な話だと思うだろうが、まアどうか聞いてもらいたい。おのれのことを吹聴するようでおかしいが、おぬしらも知っている岩穴の前の畑は、われわれの船頭の才覚で、鳶口で岩を突きやわらげてつくったものだ。打明けたところ、真先に反対したのはこのおれだったが、やってみたら、やれた。