Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋

菊池 寛

Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

(と座る)

藤十郎 (夜具を後へ押しやりながら)ちと、御意を得たいことがあるほどに、もう少し近く来てたもらぬか。

お梶 (少し不安を感じたるごとく、もじもじし、あまり近よらない。やはり無邪気に)改まってなんの用ぞいのう。おほほほほほ。

藤十郎 (低いけれども、力強い声で)ちと、そなたに聞いてもらいたい子細があるのじゃ。もう少し、近う進んでたもれ。

お梶 藤様としたことが、また真面目な顔をしてなんぞ、てんごうでもいうのじゃろう。(いざり寄りながら)こう進んだが、なんの用ぞいのう。

藤十郎 (全く真面目になって)お梶どの、今日は藤十郎の懺悔を聴いて下されませぬか。この藤十郎は二十年来、そなたに隠していたことがあるのじゃ。それを今日はぜひにも聴いてもらいたいのじゃ、思い出せば古いことじゃ、そなたが十六で、われらが二十の歳の秋じゃったが、祇園祭の折に、河原の掛小屋で、二人一緒に連舞を舞うたことがあるのを、よもや忘れはしやるまいなあ。(じっとお梶の顔を見詰める)

お梶 (昔を想うごとく、やや恍然として)ほんにあの折はのう。

藤十郎 われらがそなたを見たのは、あの時が初めてじゃ。